楽団日記

札幌で活動する芝居のエンターテイメント集団、                                  弦巻楽団の弦巻楽団による皆様のための日記です。

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つづきをもっと聞かせて

この一ヶ月、繰り返し繰り返し小沢健二の「我ら、時」を聞いて来た。

小沢健二は僕にとって(いや、多くの人間に取って)『先生』だった。
無意味の世界を切り裂き、あたたかい何かに向かって導く先達であり、
「生きることを諦めてしまわぬように」ともに祈ってくれる友人であり、
「喜びを他の誰かと分かち合う」パーティーの主催者であり、
「ある光」そのもののようだった。
(「さよならなんて云えないよ」のインストゥルメンタルで号泣するくらい好きだった。)

正直、信仰に似た感情を抱いていたんだと思う、
そうした感情を日頃忌み嫌っていながら。
そのくらい魅力的で、その言葉は地に足をつけていながら、魔術のように響いた。

だから、作品を追うごとにその表現が「性愛」に焦点を絞っていったのも、
とても合点がいく、切実に感じられるものだった。
あなたと繋がり合う一瞬に「ある光」を見いだす、それは順当に大人になっていく自分も共感できるものだった。

そして、長い沈黙。
実際は沈黙ではなく、数々の活動を重ねていたのもよく知っている。
(そう言えば、マーヴィン・ゲイのトリビュート盤の日本盤にだけ収録されたボーナストラックの曲だけ未聴だ。誰か持ってないかしら。)

けれど、復活ライブは行けなかった。予定が様々あったような気もするし、知らず知らず避けていたような気もする。『「LIFE」の曲を中心に構成されたショーになる』と言う前評判に、微妙な気持ちになったことは覚えている。
沢山の人が絶賛していた。
正直、びっくりした。ユニコーンの時も驚いたけれど、こんなに身の回りにファンがいたのか!と思うほどだった。
その盛り上がりに羨ましいと思いながらも、気持ちは温度差を感じていた。

そして、そのライブ盤が発売された。
著作やTシャツを合わせた豪華版で、値段も高額だった。展示会まで行って相当悩んで、結局買わなかった。
3年たって、通常版が発売された。ここでやっと購入。じっくり聞いた。何度も何度も。
いいともにまで出た。もちろん映像をチェックした。

一言で言えば、「新曲」がもっともっと聞きたかったのだと思う。
ヒットチャートで、ポップソングで、シングル盤で、今の、小沢健二を確認したかったのだと思う。
いや、もっと根源的なものかもしれない。
往年のロックバンドが過去のヒット曲で所得の高い層(年配の世代だ、当然)を相手にライブをするのとどう違うのか、ということだ。
朗読も新曲もあった。でも中心となるヒット曲への盛り上がりや、ブギーバックでのスチャダラパーとのコラボには、感動の再会以上の感動はこみ上げてこなかった。
少なくても、10代20代のとき、彼の音楽に切実に求めて来た「目を覚まされるような何か」は、そこには無かった。
そこにいる人達や体験した人達の興奮が、良くわからなかった。
本当に彼の音楽を聞いてたのかとさえ思った。

自分が良くわかってない、浅薄なだけだ、ともちろん考えた。
今も考えている。
(大体、その場にいなかったのだし。)
わざわざ書くことも無いとも思う。みんな楽しんでるんだから、話を合わせておけばいいとも思う。

でも、そうした「みんな〜だから」と言う地平から一番遠かったのが、彼の音楽であり言葉だった筈なのだ。
少なくとも、僕にとっては(ああ!結局僕にとってだけなのかもしれないのだ!)。
そうした「啓示」であり、「哲学」であり、
「生きることを諦めない」力そのものだった。

もしかすると、こんな「みんな」も引き連れて新しい扉を開けるよ、と言うメッセージなのかとさえ思う。

今も、えんえん繰り返し聞いている。
通して聞いて確信したのは、このライブの中でのベストトラックは「天気読み」(〜「強い気持ち・強い愛」までのリズム!)であり、「犬キャラ」からの楽曲が最も胸に現在進行形として響いた。
「天使達のシーン」の新しいバージョンも素晴らしい。
ここに、この先にこれからの小沢健二を期待してしまう。
正直、この「天気読み」の新しいバージョンのシングルで復活していたら悶絶死していたかもしれない。
96〜98年のシングル、そして「eclectic」からの流れが一つに結びつく、素晴らしいバージョン。

いい歳して何を期待してるんだ、と我ながら思う。
依存したいわけじゃない(と、思っている)。
信仰ではなくても、やはりそれは高みにある、自分にとっての目標なのだ。
「祈り」であり、「光」なのだ。
つづきをもっと聞かして。
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